新型コロナウイルスに対する日本の対応

いまネットでNNN系のニュースを見ている。東京都庁の会見がライブで行われているが、テロップで「東京都内で新たに8人感染」と表示されている。このような重大事件について安易に書き込むのは厳に慎まなければいけないと思う。それを踏まえた上で私の考えたことを書いてみたい。

私は「日本政府の新型コロナウイルスに対する初動が遅く、かつ甘かった」と考える。

Wikipediaなどの情報によると、中国武漢市では2019年12月初旬に原因不明の肺炎患者が報告され、12月31日にWHOに報告され、翌2020年1月1日に武漢市の海鮮市場が閉鎖された。遅れに失した感はあるが、中国は1月23日に武漢市への出入りを禁止し、1月24日には団体の国内旅行を、1月27日には団体の海外旅行を禁止した。そして中国本土では1月末までに1万人をこえる感染者が出た。ちなみに2020年の春節は1月24日から1月31日までであり、中国国内や国外への大移動が起こる時期である。

これに対して、日本国内では大きく3つの事柄が並行して起きていたと思う。

一つ目は、1月15日に初の感染者が確認された。その後、武漢からの中国人旅行者の感染が確認されたが、1月28日に日本人のバス運転手の感染が確認された。彼は中国人旅行者を載せて東京と大阪を往復していた。2月13日には都内のタクシー運転手の感染が確認され、同日に彼の義理の母が感染で死亡した。また、千葉県内から都内に通っている会社員の感染も確認された。

二つ目は、武漢在住の日本人を日本に退避させるために複数回にわたってチャーター便を送った。ちなみに邦人206人を載せた第一便は1月29日に羽田に到着し、殆どが某ホテルに隔離のために移動した。

三つ目は、クルーズ船ダイアモンド・プリンセスが2月3日に横浜港沖にやってきた。乗客乗員3,700人が乗る船内では既に感染が始まっており、それには神奈川県のみならず近隣の県も協力して対応している。

この三つのうちで問題なのは一つ目であろう。もはや水際対策などと言っている状況ではなく、関東圏や関西圏、後に中京圏にも感染者が出始めている。あまり使いたくない言葉ではあるが、日本国内も「パンデミック」になってもおかしくない状況である。

これらの状況で日本政府は何をしたか? 外務省は1月24日に武漢市を含む湖北省全域の感染症危険レベルを「3」に引き上げて渡航の中止を勧告、日本政府は1月28日に新型コロナウイルスによる肺炎を指定感染症に指定する政令を閣議決定して施行を前倒しして2月1日にしている。(2月1日に前倒ししたのは、WHOが1月31日に「緊急事態」を発したからである。)これは具体的には、「入国申請前の14日以内に中国・湖北省に滞在歴がある外国人と、湖北省で発行されたパスポートを所持する外国人」を入国禁止にすることを含む。そして2月13日になってやっと入国禁止の対象を「浙江省」まで広げた。

一方アメリカは、国務省が1月30日に中国全土の渡航警戒レベルについて4段階で最も高い「渡航中止・退避勧告」に引き上げ、翌31日には「14日前までに中国に滞在したことがある外国人の入国禁止および湖北省に滞在していた米国人の隔離義務」を発表している。要は「中国全土」を対象に入国禁止としているのである。

長々と書いてきたが、上述のように日本政府の「外国人(主に中国人)が日本に入国すること」に対して甘すぎると思われる。うがった目でみると、インバウンドでの国内産業を考えて、対応が後手後手にまわったのではないかとも思われる。政府には「日本国民の健康」を第一に考えて対処してもらいたい。
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後でわかったことであるが、武漢市内の李文亮という医師が12月中に微信のグループチャットに原因不明の肺炎のことを発信していたが、逆に警察からデマを流したとして訓戒の処分を受けた。つまり武漢市の初動もまずかった。ちなみに李医師は自身も罹患して2月7日に亡くなっている。
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Wikipediaでは以下のURLにまとめられている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/2019年-2020年中国武漢における肺炎の流行

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