米国のトランプ大統領が、日本を皮切りに韓国・中国・ベトナム・フィリピンのアジア5ヶ国の訪問にやってきました。トランプ氏は米国の大統領ではあるものの、大統領選挙での言動・大統領になってからの政策などで、必ずしも米国国民の多くに信任されているとは言い難い状況です。そのような状況のトランプ氏に対して、一番に礼を尽くしているのが日本の安倍総理だと思います。従って今回のアジア訪問では安部氏との会談が一番気楽だったのではないでしょうか。
ちなみに先日の衆議院解散と総選挙は、トランプ氏が来る前に国民の安倍氏に対する信任を得ておく意味合いもあったと思います。トランプ氏は国民の信任を得たかたちになった安倍氏と安心して親密な外交ができたのだと思います。
しかし、たぶん今回のアジア訪問でトランプ氏が一番に重要だと考えているのは中国だと思います。日韓のみならず米国や世界の他の諸国も危惧している北朝鮮問題ですが、このキーを握っているのが中国です。受けて立つ習主席も10月の共産党大会で自分の地位を盤石なものにして、トランプ氏の訪問を受けることになります。
その中国は2010年にGDPで日本を抜いて世界2位になり、ほんの7年で日本の2倍のGDPの国になってしまいました。周氏による一帯一路の政策やAIIBの設立など、中国は世界第2位の経済大国として急速に発展してきています。
従ってトランプ氏にとって中国は、北朝鮮問題の鍵を握る国であると同時に、アメリカ第一主義の立場からは貿易の面で大きな不均衡状態にある国でもあります。この2つの意味で、トランプ氏が周氏にどのように対するのか非常に気になります。きっと中国はトランプ氏を破格の待遇でもてなすでしょうが、その裏での大きな駆け引きが行われると思います。
民主国家アメリカが、一党独裁の中国に対して、どれだけの譲歩を引き出せるのか、大変に気になるところです。