国民投票は民主的か?

イギリスがEUを離脱するかどうかの「国民投票」が6月23日に行われました。結果はみなさんがご存じのように、僅差で「離脱」に決しました。

その途端にポンド安、それが回り回って日本では円高と株価の急落が起こりました。イギリスがEUを離脱すると、イギリスとEU諸国の間での貿易では関税がかかることになります。日本企業はイギリスに工場を建てて、EU域内に製品を売っていましたが、イギリスがEUを離脱すると、前述のように関税がかかるようになります。例えば日立はイギリスに鉄道車両工場を持っていて、高速鉄道の車両をEU域内の国々に売るつもりでいた訳ですが、これからは関税がかかることになります。

イギリスにEU離脱の話が持ち上がったのは、難民問題が大きくあるようです。中東やアフリカから流入してきた難民はEU域内を移動して、経済の調子のよい国であるイギリスなどを目指します。そうすると、難民への社会保障に多額の費用が発生したり、難民によってイギリス人の雇用が脅かされることになります。また難民によって治安が悪化することも懸念されます。

そのようなことを正面に出して、離脱派はキャンペーンをはり、マスメディアがどちらかに偏った報道をすると、国民の考え方の大きな流れは簡単にある方向に変わっていきます。つまり国民投票は国民の意思を集約しているように見えて、実際はマスメディアなどの大きな力が働いて結論を出してしまうことになり、必ずしも民主的であるとは思えません。今回のイギリスのEU離脱もこんな状況で決まったことと思われます。

ちなみにきょう、離脱派の中心的存在だったナイジェル・ファラージ氏がイギリス独立党の党首を辞任する、という無責任な行動に出ました。結局、独立を叫んだ人たちは本気でそう思っていたのでしょうか?

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